沖縄戦を知るための書籍やDVD
私が今まで読んだ沖縄戦に関する書籍、DVDをいくつか紹介させて頂きたいと思います。
沖縄戦―民衆の眼でとらえる「戦争」
- 作者: 大城将保
- 出版社/メーカー: 高文研
- 発売日: 1988/10/01
- メディア: 単行本
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現在は絶版になっているようですね。この本ではじめて沖縄戦の全貌を知ったのですが、当時あまりの悲惨さに愕然としたのを覚えています。著者の視点は左寄りですが、沖縄に残された友人が皆想像を絶する地獄を味わい、戦後も体のどこかに砲弾の破片を抱えているのに比べ、自身は疎開して無事だったという、何とも言い難い負い目が根底にあるのを感じられます。それでも1945年、沖縄でいったい何が起きたのか、全体の流れが掴みやすく、沖縄戦入門としてなかなかよくできた本だと思います。
ペリリュー・沖縄戦記
- 作者: ユージン・スレッジ,伊藤真,曽田和子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/08/07
- メディア: 文庫
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スピルバーグが監修したバンドオブブラザーズの太平洋戦争版ともいわれる戦争ドラマ、「ザ・パシフィック」の原作です。一海兵隊員の手記によるノンフィクションですが、攻められる側でなく攻める側にとっても地獄だったのだと、改めて沖縄戦の悲劇を思い知らされます。
沖縄シュガーローフの戦い
沖縄シュガーローフの戦い―米海兵隊地獄の7日間 (光人社NF文庫)
- 作者: ジェームス・H.ハラス,James H. Hallas,猿渡青児
- 出版社/メーカー: 光人社
- 発売日: 2010/08/30
- メディア: 文庫
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「中隊は丘に消えていった・・・」。シュガーローフと名付けられた丘を巡る、一週間にわたる壮絶なる激闘の全貌を、多数の米兵の証言を基に描いてます。シュガーローフの戦いについては以前のエントリーを参照してください。
日本兵を殺した父
日本兵を殺した父: ピュリツァー賞作家が見た沖縄戦と元兵士たち
- 作者: デールマハリッジ,Dale Maharidge,藤井留美
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2013/06/24
- メディア: 単行本
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「ピュリツァー賞作家が見た沖縄戦と元兵士たち」という副題ですが、沖縄より帰還後、死ぬまでPTSDに苦しめられた父の姿を見続けた著者が、当時いったい何があったのか、何が死ぬまで父を苦しめたのかを知るべく、父の戦友たちにインタビューを重ね、さらに沖縄に渡り戦跡を訪れ、旧日本兵にインタビューを試みるなかに沖縄戦の悲劇を浮き彫りにしています。これを読むと、勝者はどこにもいなかったのだ・・・と思わずにおれません。
沖縄戦 二十四歳の大隊長
沖縄戦 二十四歳の大隊長: 陸軍大尉 伊東孝一の戦い (WW SELECTION)
- 作者: 笹幸恵
- 出版社/メーカー: 学研パブリッシング
- 発売日: 2015/04/28
- メディア: 単行本
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ここまで三冊は米兵視点の書籍でした。それに比べ、日本兵・・・特に最前線で戦った兵士、なかでも士官クラスの記録は少ない。何故なら、多くは戦死を遂げてるからと思われます。その中、圧倒的な火力を誇る米軍を苦しめた伊東大隊長の存在と証言は稀有に値します。まだ読んでる途中ですが、最前線で戦った士官クラスの視点だけになかなか興味深い。
激動の昭和史 沖縄決戦
- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2015/05/20
- メディア: DVD
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こちらは評判高いと知りつつも、昭和46年制作とかなり古いため、最近の手の込んだCGに慣れた目で見たら興醒めするのではと、いままでずっと敬遠してきましたが、最近思うところあって観たところ、なかなかどうして、個人的には日本人が作った戦争映画の最高傑作はトラ!トラ!トラ!と思っていたのですが*1、正直それに次ぐ傑作だと思いました。
沖縄戦の概略を時系列かつ俯瞰的に描きながら挿入される各エピソード・・・淡々と兵士の足を鋸で切る軍医、重症兵を見殺しにして無表情で撤退せざるを得ない女学生、米兵が火焔放射器で豪を焼く際聞こえる「ひゃああぁあ!」という女性の悲鳴、亀甲墓の中、家族全員が手榴弾で自決したものの死にきれず、幼い孫の首を鎌で切ってしまう爺さんなど・・・当時の沖縄の悲劇を一つ一つ浮彫りにしていくものです。これじゃ本土を恨むな、アメリカを恨むなといっても無理がある。沖縄戦を知らないという人は一度は見た方がいい映画です。
ザ・パシフィック
【通常版】 THE PACIFIC / ザ・パシフィック コンプリート・ボックス [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2011/07/15
- メディア: Blu-ray
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上でも少し紹介しましたが、バンドオブブラザーズの太平洋戦争版ともいわれる戦争ドラマです。ただしある意味テーマは真逆で、バンドオブブラザーズが戦友同士の絆や戦場における勇気などどちらかといえば英雄的行為を主体にしているのに対し、こちらはイラク・アフガン戦争の影響を受けてか、戦争の負の側面を強く描いてます。特にペリリュー・沖縄戦の映像は正視に絶えず、腐臭漂う戦場の狂気を正面から映像化しているだけに、観てて複雑な思いにならざるを得ません。沖縄戦では赤ん坊を抱えた母親が自爆するシーンもありますが、この話は原作の「ペリリュー・沖縄戦記」になかったため、実際にあった話かどうか判りません。ただし沖縄戦における極限状況を知れば知るほど、あってもおかしくないと思ったものでした。
男たちの大和
- 出版社/メーカー: 東映
- 発売日: 2006/08/04
- メディア: DVD
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最後はこれ。言わずと知れた大和の水上特攻を描いた物語です。でも日本映画特有のお涙頂戴の脚本は失笑もので鼻をついて仕方なく、映画全体の出来は個人的に評価が低いものの、実物大ロケセットを駆使した、坊ノ岬沖海戦における大和の最後の映像化は、賞賛に値するものだと思います。
*1:日米合作のため日本映画といえるかどうか微妙なとこであるが・・・