八九式中戦車乙型と九五式軽戦車

終戦の日に合わせて旧軍戦車の公開です。汚し塗装を強化した八九式中戦車乙型と、先日やっと完成した九五式軽戦車(ハ号)です。ハ号は昨年10月買ったので、完成まで実に十か月近くかかりました。




どちらも大戦前期の四色迷彩は苦労しました。特に八九式は出戻り第一作だけあって、最近の塗装テクニックを知らなかったため大変苦しみました。最初塗装した際はエアブラシの使い方もよく判らず、色も調整しないで塗ったら濃すぎる上、その上から迷彩色塗ったらムラができてあまりに見苦しくなったため、いったんシンナー風呂につけて塗装をすべて落としてから再度塗り直すという始末。そしたら今度は接着面が脆くなったのか、あちこちぽろぽろパーツが取れてきたので、再度接着して組み直しては作業を勧めました。



塗り直しはまず日本陸軍前期迷彩色の茶色・緑色・陸銀カーキにタンとダークイエローを適量混ぜて色を調整し、基本色の茶色はエアブラシで全体に吹き、迷彩の緑色と土地色はシャーペンでライン取りしてから輪郭をうすめ液で薄めた塗料で何度も塗り重ね、中心部をエアブラシで吹くという方法で塗り重ねました。



黄帯はタミヤのアクリル塗料を薄め液で薄め、筆塗りで何度も塗り重ねてます。しかし昔タミヤのエナメル塗料をずっと使っていたせいもあってアクリルの筆のびの悪さにうんざりしました。汚しは足回りにピグメントを使ってます。履帯の接地面は汚し仕上げに銀系色を塗ってますが、こうするとかなり重量感でますね。

GSIクレオス ウェザリングパステルセット1 PP101

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履帯は八九式・ハ号ともにモデルカステンの可動式連結履帯を使用。八九式は良かったのですが、ハ号の履帯はピンによる連結でこれがまた始めてで使い勝手が判らなかったせいもあって組み上がった後からぽろぽろ外れるという目に遭いました。

モデルカステン 1/35 95式軽戦車用履帯 可動式

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途中から付属の連結ピンは止め、0.3ミリの真鍮腺を買ってきてピン替わりに使用。しかし最初は粘度の低い瞬間接着剤を使用していたため、真鍮腺を伝って内部まで浸透、連結部が動かなくなる羽目に(汗)
そこで粘度の高いアロンアルファのゼリー状タイプを購入して使ってみたらこれが何ともいい具合で、連結部に真鍮線を挿入し、カットした部分を上からせりー状の瞬間接着剤で押さえるという方法を使って上手くいきました。



四色迷彩のうち基本の三色は八九式と全く同じ調色で使っています。ただしハ号の場合、緑色と土地色は完全筆塗り。八九式の仕上げでトップコート使ってわかったのですが、つや消しトップコートを吹くと筆ムラがほぼ目立たなくなることが判ったので少々ムラ出ても構わず塗り重ねました。後からトップコートで仕上げると見事にムラが目立たなくなります。

GSIクレオス Mr.トップコート 水性 つや消し スプレー 88ml ホビー用仕上材 B503

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またハ号の黄帯ではファレホを使ってます。タミヤアクリルよりも塗りやすい感触ですが、それでもエナメルに比べるとやっぱ伸びはイマイチ悪い感があります。



ハ号から一部の塗装にハンブロールを使用。普段よく行ってる模型店のオーナーに勧められて使い始めました。これが実にしっくりくる塗料で筆ののびが抜群です。しかも塗膜がかなり強く、同じエナメル系のタミヤエナメルに全く浸食されません。次の九七式では黄帯にハンブロールを使おうと思ってます。



九五式作成での収穫は、瞬間接着剤もタイプが違うものを用意し使い分ける必要があることと、ラッカー系・アクリル系・エナメル系の各塗料の特徴をかなり押さえられたことですね。特に使いやすいと思ったのはアロンアルファ・ゼリー状タイプ。粘度が高いので必要以上に浸み込まず、また硬化速度も少しゆっくりめなので、使い勝手がいいです。

コクヨ アロンアルファ ゼリー状 4g タ-594

コクヨ アロンアルファ ゼリー状 4g タ-594


また通常の接着剤はタミヤセメントと同流し込みタイプを使ってますが、塗装段階で塗料に侵されたのか、幾つかのパーツがぽろぽろ取れてしまったので、細かいパーツは瞬間接着剤を使った方が強度を維持できそうだということも判ってきました。

タミヤセメント 流し込みタイプ (模型用接着剤) 87038

タミヤセメント 流し込みタイプ (模型用接着剤) 87038



ちなみにモデル誌を読むと汚し仕上げのテクニックが色々紹介されてますが、あまり汚すと返って見苦しくなるような気がして、今回ハ号はあえて控えめに抑えてます。実車は意外と汚れてないのではとか思ったりしてますが、そこんとこどうなんですかねぇ。



おまけ。朝霞の陸自広報センターで展示されてる75式自走155mm榴弾砲です。


ノモンハンの真実

最後のおまけは、最近読んだ本の紹介。「ノモンハンの真実」です。

ノモンハンの真実 日ソ戦車戦の実相

ノモンハンの真実 日ソ戦車戦の実相


ソ連戦車研究の第一人者・古是三春さんが、極めて客観的な視点からノモンハンにおける日本陸軍戦車部隊の活躍を描いてます。昔読んだ本では、ノモンハン事件は日本戦車が最新のソ連戦車に全く歯が立たずボロ負けしたと書いてあった覚えがしてましたが、これを読むと事実は全くの逆で、当時の日本戦車は世界的に見ても時代の最新を行く性能を有しており、また戦車兵の練度は極めて高く、大量のソ連戦車を破壊した勇戦ぶりが描かれてます。しかしそれとは反比例する高級将校の無能ぶりにより最後負けてしまった事実が浮き彫りにされてます。しかし旧軍の兵站軽視は本当に伝統なんですねぇ。逆にジューコフソ連中から大量のトラックをかき集め、650キロの砂漠を何往復もさせて大量の弾薬・食糧・燃料等を輸送した大兵站作戦を展開したことを読んでは、あまりの違いにため息が出たもんです。

ちなみに今回の八九式とハ号、ノモンハンで活躍したコンビですね。