今年読んで面白かった本

なかなかレビュー書く時間が取れないので、まとめて紹介します。
#とりあえず一部だけレビュー、あとのレビューは後日。

4522敗の記憶 ベイスターズ涙の球団史

4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ 涙の球団史

4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ 涙の球団史

ベイスターズファン必読、また球界関係者ならびにすべての野球ファン、さらに教育者や組織を預かる人も機会あれば目を通して欲しい一冊です。
熱烈なベイスターズファンである著者が、どうしてベイスターズはここまで弱いのか、現役ならびに引退した選手・監督・球団社長ならびに関係者総計34人にインタビューを敢行し、徹底的にその検証を試みた一冊です。ベイスターズファンなら涙なくしては読めない秘話が次から次へと出てきては、あるいは絶望し、あるいは涙し、あるいは魂が震え、あるいは未来への希望を(ちょっとだけ)抱ける(かも知れない)という、極めて自虐史観に満ちた)内容の濃い一冊となってます。
個人的には「ある無名選手の死に様」という章で、高森勇旗が見せた現役ラスト一年の姿には感動を覚えずにおれません。また三浦大輔ベイスターズに残った理由、うっちーこと内川の誤解されてる想い、また現社長・池田純の描く建て直し戦略と未来像、どれ程負けても前を向き続ける中畑監督の姿、
時にファンから罵倒されベンチ前でビールをかけられ、体がボロボロになっても投げ続けた選手。限界を迎える前に球団を去らざるを得なかった選手。外様なるが故に選手に言いたいことを言えなかったコーチ。「優勝を見るまでは死ねない!」と死の淵から蘇った元球団社長など、この球団にまつわる多くの人たちの想いを徹底的に紹介しています。
後出する二冊にも共通する「敗者の美学」的なものを感じるとともに「組織論」を考える上でも貴重な一冊です。

永遠の0(ゼロ)

永遠の0 (講談社文庫)

永遠の0 (講談社文庫)

先日行ったタミヤモデラーズギャラリーで、映画「永遠の0」のトレーラーが延々流されており、それで初めてこの本の存在を知り読んでみました。一読、確かに面白く、たいへん読みごたえがありました。
天才的な零戦パイロットであり終戦直前特攻で亡くなった実の祖父・宮部久蔵の実像を知るべく、孫が戦友たちにインタビューを試みるという形式で話が進展しますが、真珠湾・ミッドウェー・ラバウル・比島・本土と、戦局に合わせてインタビューが推移するので、太平洋戦争を知らない人でも話が理解しやすいのではないでしょうか。
個人的には、宮部が零戦の搭乗員でありながら

「自分は、この飛行機を作った人を恨みたい・・・・・・自分たちは機械じゃない。生身の人間だ。八時間を飛べる飛行機を作った人は、この飛行機に人間が乗ることを想定していたんだろうか」

との言葉が強く印象に残りました。
また小説ながらも事実を基にしているので、旧軍に関する様々なエピソードが出てきます。危機に当たってリーダーはどう振る舞うべきか考えさせられる話も多く、また戦争突入および敗戦の原因に関しても突っ込んだ指摘をしています。

大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇

情報なき国家の悲劇 大本営参謀の情報戦記 (文春文庫)

情報なき国家の悲劇 大本営参謀の情報戦記 (文春文庫)

これも「名著」としか言いようがありません。
上記「永遠の0」と違いこちらは実話です。また「永遠の0」は兵士の話ですが、こちらは大本営・・・情報を分析し作戦を練り指揮を取る側の実態が明かされてます。
台湾沖航空戦での幻の戦果に始まる一連の悲劇、米軍の飛び石作戦の本質、司令部内にいた米軍スパイ、原爆投下部隊の調査などの様々なエピソードを通し、情報を如何に扱うべきか、また上層部が貴重な情報を無視したゆえにいかに徒に兵員を失っていったかを、米軍も一目置いた名参謀である筆者が明かしてます。
ことに「飛び石作戦」について解説した項は興味深い。半径千キロに及ぶ占領空域を島伝いに移動するという視点から見たとき、始めて米軍の戦略の本質が判り敵の攻略目標も見えてくる。この観点から米軍の戦略を解説した本って今までなかったんじゃないかな?
また圧倒的な鉄量で攻めてくる米軍に対して正面からの対峙は到底無理として、米軍の艦砲射撃や爆撃の及ばない山岳地帯での抗戦や地下陣地の構築を提案した「敵軍戦法早わかり」がベリリュー・硫黄島で採用され、山下兵団の戦闘基本方針となったのも堀氏の功績が大きいと思われます。
個人的にはマレーの虎と謳われた山下奉文大将のエピソードが強く印象に残り、旧軍にこんな立派な人間がいたのか!といたく感動するとともに、これ程の名将を見殺しにした大本営上層部への怒りが衝き上げたものです。

ノモンハン戦後、ジューコフスターリン

「日本軍の下士官兵は勇敢であり、青年将校は狂信的な頑強さで戦うが、高級将校は無能である」

と報告した話は有名ですが、堀氏の話や永遠の0を読んでると、まったくそのとおりとうなづくしか他ありません。


以下は後日暇見てレビューを追加する予定です。

原発ゼロ社会へ!新エネルギー論 (集英社新書)

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平家語物 (上)―マンガ日本の古典 (10) 中公文庫

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吾妻鏡(上)―マンガ日本の古典〈14〉 (中公文庫)

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太平記〈上〉―マンガ日本の古典〈18〉 (中公文庫)

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