原発を即時廃止し、ガスコンバインドサイクルに切り替えるべき


#まだ未完成ですが、随時追加・修正しながら公開中です。

原発問題につき先日より各方面からさまざまな話を伺い、また自分でも勉強すべく様々な本を読んでみました。


原発のウソ (扶桑社新書)

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原発はいらない (幻冬舎ルネッサンス新書 こ-3-?)

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朽ちていった命:被曝治療83日間の記録 (新潮文庫)

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福島原発の真実 (平凡社新書)

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原発をつくった私が、原発に反対する理由

原発をつくった私が、原発に反対する理由

内部被曝の真実 (幻冬舎新書)

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原発はさすがに門外漢だけに、事態を理解し呑み込むのにしばらく時間がかかりましたが、ようやく少し全貌が見えてきました。で、結論。

  1. 3.11以降、日本は巨大地震の活動期に入った。原発地震に脆く、もし直下型地震原発を直撃したら「想定外の大事故」が再び発生しかねない。
  2. またメルトダウンが起き、万一水蒸気爆発が起きたらば、その惨禍は量り知れない。
  3. ここ数年、熱効率が非常に高く安全な「ガスコンバインドサイクル」発電が出てきた。
  4. しかもコンバインドサイクルのエネルギー源である天然ガスは豊富に存在し供給量も安定、価格もどんどん安くなっている。よって・・・

全ての原発を即時廃止し、ガスコンバインドサイクルに切り替えるべきである。


事故の原因は地震

まず第一の問題です。
原発不要論・反原発 で古館さんが指摘し、また多くの識者が指摘している問題があります。それは事故の原因は津波ではなく、地震ですでに冷却機能が喪われていたことです。
もう少し正確に表現するなら、地震によって配管の亀裂・破断が発生して冷却機能が喪われ、引き続き起きた津波で電源を完全に喪失、トドメを刺されてしまったというところでしょうか。

激震に耐えたという勘違い
2011年3月の福島第一原発事故については当初、福島原発地震による被害を殆ど受けていないと思う人が多かった。
しかし、ほぼ2ヶ月経った2011年5月15日のインターネットの「47NEWS」で原発が致命的な地震被害を受けていた可能性が明らかになった。
記事の一部を下記に記す。



1号機、津波前に重要設備損傷か 原子炉建屋で高線量蒸気
東京電力福島第1原発1号機の原子炉建屋内で東日本大震災発生当日の3月11日夜、毎時300ミリシーベルト相当の高い放射線量が検出されていたことが14日、東電関係者への取材で分かった。高い線量は原子炉の燃料の放射性物質が大量に漏れていたためとみられる。


1号機では、津波による電源喪失によって冷却ができなくなり、原子炉圧力容器から高濃度の放射性物質を含む蒸気が漏れたとされていたが、原子炉内の圧力が高まって配管などが破損したと仮定するには、あまりに短時間で建屋内に充満したことになる。東電関係者は「地震の揺れで圧力容器や配管に損傷があったかもしれない」と、津波より前に重要設備が被害を受けていた可能性を認めた。


「想定外の津波により被害を受けたが、未曾有の激震に耐えたのは立派だ」と原発の耐震技術の高さを誇りにする意見すら見られたが、残念ながら勘違いだった


原発不要論・反原発 - 激震に耐えたという勘違い


同じく5月25日付けの産経や朝日の記事でも、三号機の配管が地震で破損したとの解析結果を発表してます。

関連記事: 3号機、地震で配管破損か 東電解析結果で判明 福島第1原発
関連記事: 3号機の冷却配管、地震で破損か 津波前に


これを読むと、津波だけじゃない。いま世間では「津波」だけがクローズアップされてますが、震度六程度の地震ですでに配管系統がやられていた可能性がある。もし他の原発震度7以上の巨大地震が直撃したら・・・ここに原発をただちに廃止すべき理由があります。


原発の構造上の弱点

上に上げた六冊の中でもっとも身につまされて考えさせられたのが、菊池洋一氏の原発をつくった私が、原発に反対する理由」です。
私もかって電気工事士としてバブル最盛期の頃建築現場で電気工事に従事し、さらに計装関係の設計に携わるようになってからは国防の要ともいうべき都内某施設や新宿の高層ビルの設備施工図を書くなど実際多くの現場を見てきましたが、現場の空気を知ってるだけに、原発がどのような空気の下で施工されてるか知った時、これじゃ原発が巨大地震に耐えられるわけないとつくづく思いました。

菊池氏は、原子炉には構造上致命的な欠陥があるといいます。冷却水が失われればメルトダウンが起きるというのはいまや周知の事実ですが、冷却水の喪失はなにも電源喪失だけでない、配管の亀裂や破断で容易に起こり得る、そして原発はその配管に重大な問題があると指摘してます。本書第一章「知られざる原発の致命的欠陥」では、以下の項目に渡り、原発の構造的問題点を指摘してますが、読んでると肌に粟を生じる思いになってきます。

  • 50年前から疑問視されていた安全性
  • 原発はしょせん「原子力やかん」
  • 原子炉圧力容器の底は「ザル」
  • 原子炉は「配管のお化け」
  • ほとんどの配管は「宙づり」になっている
  • 地震がなくても危うい配管の支持
  • 十数箇所も配管がぶつかっていた図面
  • 複雑な配管に閉じ込められた溶接工
  • 度重なる設計変更がミスを生む
  • 配管内に放置されたプラグの突起
  • 溶接部分をすり替えて、国の検査をクリア
  • 予想通りの位置で発生した配管の亀裂
  • メルトダウン津波が原因ではない

以下、本文から少し引用させて頂きます。

原子炉は「配管のおばけ」


原子炉圧力容器からは実にさまざまな配管が出ています。80万キロワット級の原子炉でも450本です。それぞれの配管についている弁の数となったら1000を超えます。まるで配管のおばけです。・・・原子炉はこの大量の配管を本体からぶらさげています。原子炉と配管はもちろん一体成型されたものではありません。原子炉との繋ぎ目の多くは手作業で溶接しています。
圧力容器の「厚さ」がどれほどあっても、こうした継ぎ目がもつかどうかは別問題です。いくら計算上「だいじょうぶ」といっても、地震の揺れの方向を計算するのは非常に難しい。予期せぬ増幅もあれば、日常の運転で予想以上に脆化したものが、本震では持ちこたえても余震で壊れる可能性はいくらでもあるのです。
私が事故発生いらい、もっとも心配していたのは、この配管なのです。・・・


原発をつくった私が、原発に反対する理由 26頁


またこういう恐ろしい話も明かしています。

複雑な配管に閉じ込められた溶接工


一番の問題は、ハンガーそのものを支持するロッドを、すべて「上向き溶接」していることです。溶接というのは、溶接工の「姿勢」によってその強度が大きく異なります。上向き溶接は下向き溶接の半分ほどの強度しかでない場合もあるのです。
原発の建設現場での溶接は、工場での自動溶接とはまったく違います。
とにかく配管が混み合っていますから作業スペースが非常に狭い上、上からは火の粉が降ってくる。ラグの取り付け時期は、工程上からも他の多くの作業が重なっているときです。現場は資材の置き場にも困るほど混み合っています。その環境の中で、金属が溶け落ちてくる可能性のある上向き溶接を行うのは、ベテラン溶接工にとっても非常に難しいことなのです。
福島原発6号機の建設中に、PLRポンプ回りのラグを溶接している溶接工が、「下向き溶接の半分も強度が出るかどうか、オレには自信ねえ」と言っていたのを覚えています。「まあ検査は通るだろうけどよ」とその溶接工は言っていましたが、これはそもそもラグを取り付ける方法を変更すべきだと思いました。・・・・・・


・・・こんなこともありました。福島第一原発6号機のタービン建屋の建設中、ある現場責任者から「設計変更による工事の直しが多すぎて、溶接工がみんなアタマにきて、誰も変更箇所の溶接をしてくれない」という訴えを聞いたことがあります。結局作業は無事すんだのですが、その溶接工は「溶接が終わって出てきたら狭すぎて自分が外に出られなくなった。しょうがないから溶接した部材を切断して出てきた」と言ったそうです。冗談ではなく、本当にあった話です。


原発をつくった私が、原発に反対する理由 35頁


そして、菊池氏はさらに「通常運転で、すでに多くの配管から計算上発生する筈のないヒビが発見されている」との事実を明かしています。

予想通りの位置で発生した配管の亀裂


・・・私は以前、再循環配管図面の、危ないと思う部分すべてにマークをつけてみました。もちろん計算上は亀裂など発生するはずのない配管です。
ところが、その後の検査で、私がマークした各原発の溶接線のほぼすべての部分に亀裂が発見されたのです。
2002 年には「東京電力原発トラブル隠し事件」が起きました。東京電力が管内の原子力発電所で起きたトラブル記録について、意図的に改竄・隠をしていたことが、アメリカ人技術者による内部告発で発覚したのです。原子炉内の蒸気乾燥器についてのものです。これを受けてやっと行われた 2003 年の点検で、全国の原発で発見された再循環系配管のヒビ割れは、約100箇所にのぼりました。


約 1000 箇所の溶接継ぎ手を検査したところ、1割にヒビが入っていたということです。このとき、浜岡原発では、原子炉内のシュラウドにも、溶接部分に何箇所もヒビ割れが発見された。一番ひどいのは、シュラウドのほぼ全周にわたるものでした。


・・・電力会社も、推進派の学者も「計算上安全だ」「監視を続けるのでだいじょうぶ」と口をそろえますが、よく言えるもんです。計算上安全なはずの全国の原発は、予想通りにすでにヒビだらけだったではありません。



・・・浜岡原発でシュラウドの亀裂がわかったとき、多くの人が「このヒビでは地震が来たらもたないのではないか」と心配しました。しかし、中部電力も国も「このままでも 5 年間はもつ」と言いました。・・・そもそも「計算上入るはずのない亀裂」が入っているのに、「亀裂の進展」などをまた計算して「安全です」というのは、悪い冗談にしか思えません。


原発をつくった私が、原発に反対する理由 47頁

建設現場の実態

原発不要論・反原発 でも元大手ゼネコン社である古舘真さんが検証されてますが、どうやら原発は耐震性に疑いあるのが避けられないようです。古舘さんは原発の「シャブコン」問題も取り上げてますが、原発を現場で実際に施工する職人やそれを指揮する監督にどれだけ耐震強度に対する意識があるかというと、現場を知る人間としてはほとんどゼロではないかと疑わざるを得ません。

私は二十二〜二十五くらいの三年間、横浜のとある電気工事会社に勤務してたのですが、今から考えると安全面でかなり問題のある現場を見てきました。

横浜のワンルームマンションでは、内装もほぼ完成し引き渡し寸前だったのですが、通電試験の際、ある部屋の電気コンロのスイッチが入れたままになっており、しかもコンロの上にケーブルが乗っけたままで、コンロから出火してしまい大騒ぎになりました。
なんとかボヤで消し止めたものの、部屋は煤だらけになり焦げた匂いが充満してましたが、会社の親方と監督が協議して決めたことは、「納期が迫っているので、施主や消防署には通報しない」「クロスは貼り替え、匂いは消臭スプレーでごまかす」というものでした。

また一時建築現場の「シャブコン」というのが問題になったようですが、現場サイドとしてはコンクリートが固いと型枠の中に流れていかなくて隙ができる、水で薄めた方が型枠の隅の方まで流れていくし、コン打ちも早く終わるというので、監督よりもむしろ職人さん達の方に喜ばれていた感がありました。当然建物の耐震強度なんか考える人は私も含めて誰もいませんでした。

またとある現場では、電話用の機器を取り付ける配電盤が設計ミスにより壁に収まらず、なんと鉄筋の主筋をぶった斬って無理矢理収めたということもありました。その時の現場の空気は、「まぁ設計ミスだからしょうがないよね」と監督の了承のもと工事したのですが、今から思うと恐ろしいことです。

また電気や上下水道の配管を通すシャフトには防火措置を施すのですが、電気ケーブルを通す箇所では耐火粘土等による保護が義務付けられています。しかし多くの現場では「耐火粘土は高くてもったいない」という理由で、見えるとこだけ耐火粘土を盛って消防検査をごまかしてたことがありました。

ある親方は、「あそこの消防署の署長はうるさいから気をつけろ」と、真面目に職務に取り組む署長を煙たがり、適当に検査してパスしてくれる署長を有難がってるなんてこともあったのを、今になって思い出しました。

菊池さんが「まあ検査は通るだろうけどよ」という職人の言葉を引いてますが、どの原発も職人レベルではまず目の前の仕事をこなすのが精いっぱいで、「耐震強度」や「安全性」を考えて作業してる人はいないとは言いませんが、むしろ極少数であると思います。また検査する側もどれだけ意識してるかというと、「仕事だからやってるだけ」というのが本音じゃないでしょうか。

菊池さんの「原発をつくった私が、原発に反対する理由」の中でも、当時下請け会社の現場責任者とこんな会話を交わしたと回想してます。




「今度の現場の安全大会に、わが社の標語として提出したいんだけど、どうしても出せない標語があるんですよ」
「どんなのか教えてよ」
たまには守ろう安全標語っていうのです」
「GE としても出せないのがあるよ。足場より立場


原発をつくった私が、原発に反対する理由 96頁



・・・足場より立場・・・名言ですねw これが絶対安全という原発の実態です。


ガスコンバインドサイクル

別エントリに起こしました。

ガスコンバインドサイクル発電の推進により、原発は完全不要に!


右も左もない

ネットを見て唖然とするのが、いつの間にか「推進派=右」「脱原発=左}というイメージが形成されていることです。しかし日本国の未来を真剣に考えるなら、原発全廃は本来保守陣営こそ声を大きくして叫ばねばならないと思います。

推進派は日本国が地震の活動期に入ったことを忘れている。もういつ巨大地震が起きても不思議ではない。しかも日本の原発は多くが巨大地震震源域やプレート境界線上の近く、さらには活断層の上に建てられているものもあるそうじゃないですか。もし万一水蒸気爆発が起きたら取り返しがつかない。数万人が急性放射線障害で死亡し、百万人以上の人たちが難民となる。当然半径百キロ圏内は避難地域となり、少なくとも半世紀以上人の住めない場所になる。経済云々と言ってる場合ではない、そうなったら日本が壊滅します。これこそ日本国にとって最も直近の憂えるべき事態ではありませんか。

もし福島で水蒸気爆発が起きていたら、首都圏に住む三千万人も難民となる。国会だけではない、皇居も移転せざるを得ない。推進派の保守の連中は、万一首都圏が避難地域になったらいったい陛下をどこに案内するつもりなんでしょうか、たぶん考えてないに相違ない。有事を想定して軍隊を保持しているのに、原発は絶対大丈夫という、すでにレベル7の大事故が起きていて安全神話も崩壊し、まだ事故も全く収束していないのに、なぜ再度の「原発事故」という有事は想定できないのでしょうか。


また田母神さん辺りが「核兵器開発のためにも原発は稼働すべき」と言ってるのを知った時は驚きました。仮に百歩譲って核保有を容認したとしても、日本に54基も危険な原発は不要です。すでに溜まったプルトニウムは山ほどあるじゃありませんか。また核を一個や二個持ったところで中国の圧倒的な核戦力には対抗できるとは思えない。いや核を開発しようとした時点で、イスラエルがイランにやったように先制攻撃される可能性は大きい・・・核兵器の件は言及しすぎると本題から外れるので止めときますが、仮に核保有のため原発を建てるというなら、北海道の過疎地に小型出力のものを一基だけ建てるべきです。日本の心臓部たる本州には全く不要、というか一基も置くべきじゃありません。