コンバインドサイクル/LNGにまつわるQ&Aをまとめてみた

最近、コンバインドサイクル発電が注目され始めたせいか、原発をどうしても再稼働させたい人たちが、いろんなとこでLNGに対するデマや誤解を流しているように思えます。

たとえば、

化石燃料はすぐ枯渇する

とか

CO2を出すから問題

とか

天然ガスは調達に不安がある

とか

天然ガスは高すぎる

その他もろもろetc、SNS掲示板覗くと誤解させるような話が飛びかっています。他の分野では相当見識がある人達も、ことLNGについては知識がないせいか、どうもこれらの妄言に引っ掛かりやすいです。

先日某所でQ&A方式のうまいカキコミ見つけたので、今回のエントリーでは、それに自身の見解も交え、原発再稼働は全く不要、LNG火力(コンバインドサイクル)発電の推進で電力問題は十分解決することを書いてみたいと思います。

Q01 : 原発全部停止したら、今年の夏は電気足りないよね

A01 : 火力を稼働させれば充分電力は足りる。関電は不足するというニュースが流れているが、こういう情報もある。
「関西電力の嘘 関西地方は原発ゼロでも電力不足は起こらない」
関西電力は、電力需要のために再稼動したいのではない


Q02 : 化石燃料ってすぐ枯渇するよね

A02 : 国内の火力発電は天然ガスが主力だが、シェールガスの登場により天然ガスの可採年数は400年以上に跳ね上がったと言われている。よって百年程度なら枯渇の心配は全くない。
天然ガスの可採埋蔵量は数百年、将来は一千年


Q03 : でも天然ガスは中東から輸入してるんでしょ?有事の際調達難しくない?

A03 : シェールガスの登場により、在来型も含めた天然ガスの産出地域は、カナダ・アメリカ・南米・オーストラリア・インドネシア・中国・インド・ロシア・中東・南アフリカ北アフリカ・東欧・西欧と世界中に広がり、調達不安はなくなった。
米エネルギー情報局(EIA)による主なシェールガス層の分布図
天然ガスが恒久的に原発を代替できるこれだけの理由 〜 ホルムズ海峡への依存はゼロに近づく


Q04 : いやいや外国からの輸入に頼るのは問題だよ

A04 : 日本が将来北朝鮮のようになって国際的に完全孤立すれば問題かもしれないが、現状ではその心配は不要だろう。万一そうなった場合、エネルギーより食料問題の方が遥かに深刻。


Q05 : 天然ガスは大気汚染やCO2の問題あるじゃん

A05 : 天然ガスは性質上、硫黄酸化物を一切排出しない。また窒素化合物も石炭の4分の1で、現在の技術なら十分除去可能なため、大気汚染の心配は不要。またCO2温暖化説は嘘だったとばれておりいまや完全オワコンだ。
クリーンエネルギー 天然ガス(ここの埋蔵量地図はシェールガスを含んでないので注意)
「二酸化炭素排出が地球温暖化の原因」という嘘は、東欧諸国を石油ドル体制に組み込み支配する目的?


Q05 : 天然ガス発電所建設したくても住民の反対あるよね

A05 : 東京湾だけでもすでに幾つもコンバインドサイクル発電所が建っている。
東電だけ見ても、千葉の湾岸に九基、品川に一基、川崎に三基、横浜に二基と計15基も稼働中。これらは全部首都圏だが、建設する際激しい住民運動があったなど聞いたことがない。
さらに稼働中・建設中含め、国内すべてのコンバインドサイクル発電所を数えると、なんと計163基に上るという。
東京電力 富津火力発電所


Q06 : 日本のLNG調達価格はなぜ高いの?

A06 : 理由は2つある。1つは、中東(カタール)からのスポット契約をずっと続けてること。もう1つは、石油価格に連動した契約を続けていることだ。


Q07 : 電力会社は、なぜLNGの高値買いを続けるの?


A07 : これも理由は2つある。1つは総括原価方式と燃料費調整制度で、LNGを高値で購入して原価を高くすればするほど、電力会社が儲かる仕組みがあること。
もう1つは、LNGを出来るだけ高値で購入することで、LNG火力発電と比べた際の原子力発電のコストを、安く見せかけるためだ。


Q08 : LNG調達価格を下げるためには、どうしたらいいの?

A08 : 現在のスポット契約を長期契約に変えることと、石油価格連動契約を止めて普通の国際価格で契約することで調達価格は下がる。
また米国、カナダ、アフリカなど、LNG輸入元をさらに拡大することでも、供給の一層の多角化・安定化と価格交渉力の向上が期待される。
わが国の商社や政府も、このようなLNG輸入元拡大のための取組みを始めている。


Q09 : 何がLNGの調達価格を下げることをじゃましているの?


A09 : 電力会社が原発再稼働をあきらめておらずLNG火力の拡大に消極的なため、震災後に増えたLNGの輸入をなかなか長期契約に切り替えないこと。
また火力発電の燃料代を口実に電気料金の値上げをすることで、社会に原発再稼働やむなしというムードをつくろうとしていることがある。


Q10 : 今後どうしたらいい?

A10 : まず大勢の人たちにLNGの輸入に係る問題を知ってもらう。そして独占状態の電力業界に対してPPS等の新規事業者の参入を促すことにより、電力業界に競争を取り入れることだ。
会社や工場に勤めている人であれば、PPSへの切り替えを提案・検討してみるのもいい。また将来的に発送電分離が導入されれば、電力業界の競争性はさらに高まり、電力会社が意図的にLNGを高値で調達するなどというおかしなことはなくなるだろう。


Q11 : 原子力発電をやめると、将来核武装ができなくなるんじゃない?

A11 : 現在日本で稼働している軽水炉では核兵器用のプルトニウムの生産はできない。またもんじゅも暗礁に乗り上げており、軽水炉核燃料サイクル核武装につながっておらずむしろ邪魔者になっている。産経新聞や読売新聞、大多数の保守派知識人・保守派政治家も、この初歩的なところを180度勘違いしている。
原子力協定などの縛りがあるため、わが国が核武装するには自前の国産ウランを確保することと黒鉛炉を建設することが必要だ。そのためには学術研究レベルの原子力技術(小規模研究炉や海水からのウラン抽出技術など)を維持しておけばいい。


Q12 : LNG火力発電のスレがたつと、どうしてLNGをボロクソにけなすレスがつくの?

A13 : LNG火力発電所の増設によりある意味『容易に』脱原発ができてしまうので、原発推進派にとってLNGが非常に脅威に見えるのだろう。
脱原発を抜きにしても、LNG火力発電所が増設されることは電力供給のマージンとなり、LNGの輸入元が増えたりすることは、国民や産業界にとって、とても望ましいことのはずなのに。




以上ざっとまとめてみました。その他いろいろ言いたいことはあるのだけれど、それはまた後日といたします。