読んで面白かった本

ここ一年くらいの間に読んだ本の書評です。

まず最近読んだ本で、特に面白かったのがこれ。著者が筋金入りの極道なだけに大変評価しづらいのですが・・・あえて書評を書いてみたいと思います。

憚(はばか)りながら

憚(はばか)りながら


「憚りながら」

私が二十歳くらいの頃、職場の親方が地方の組の元若頭で、飲み連れてかれては武勇伝を散々聞かされたり、また蕎麦屋で働いてた頃は右翼の事務所に出前に行って散々からかわれたり、知り合いにも元ヤクザが何人かいて色んな話を聞いてただけに、ヤーさんの感覚って正直判らなくもないんですよね。(注:私は堅気です)で、たまたま Amazon でこの本が売れてるのを知り、早速買って読んでみたわけですが、不覚にも読んで「カッコイイ!」と思ってしまったのは、偽らざる心境です。


長年ヤクザ家業を歩んできて関わってきた事件を通し、創価学会池田大作やら、経団連の会長・御手洗やら、ホリエモンから小泉や安倍やらをバッサバッサと次から次へ斬ってくわけですが、これがまた痛快極まりない。確かに自分の言ったことに責任を全く持たない、いまの腐りきった政治家連中に比べれば、極道の方がよっぽど筋が通っているように思えます。

読んでて特に面白かったくだりは

この辺りですね。


第4章に出てくる富士桜自然墓地公園の問題ですが、以前から学会と暴力団の関係が噂されていて、私もかなり前から話には聞いてたんですが、いくら学会が悪党でもヤクザまで使ってるとはさすがに信じられませんでした。しかし今回、当事者に思いっきり暴露されたのは、学会にとってさぞかし痛いことでしょうね。まして今回は相手が相手なだけに、今後どう対応するかホントに見物です。


第6章を読むと、「親友」ってことについて考えさせられます。

人の出会いってのはホント、不思議なもんだな。一瞬で「ああ、この人とは一生、いい付き合いができそうだな」と分かるんだから。野村さんもそうだし、俺に得度を授けてくれた住職もそうだ。もちろん、俺はヤクザの世界にいたから、親分もいれば、子分もいた。それに兄弟分も。けれど、それは"盃"という独特の契りで結ばれている関係であって、やはり「友」は違う。だから「生涯の友」と呼べるのは、この2人だけだ。
憚りながら 132頁

「人というのは10年、20年、一緒にいても、兄弟でも、親子でも、好きになれないものはずっと好きになれないし、好きになるのは一瞬でも、他人でも好きになるんだな」って思ったよ。女はもちろんだが(笑)、「男同士でもそういうもんなんだなぁ」とな。
憚りながら 134頁

ローリングストーンズに「友を待つ」(Waiting On A Friend) って曲があるんですが、ストーンズの中じゃ一番のお気に入りなんですよ。後藤さんのこの話、よく判ります。


第9章では

安倍さんも、ちっとはじいさんを見習ったらどうなんだ。じいさんの岸(信介)さんは、日米安保条約調印の時、国会を20万人ぐらいに囲まれても、ケツっぺた刺されても、安保(条約)を通した。・・・日本中が(日米安保条約調印に対し)非難轟々だったんだ。けど、岸さんは、政治家としての信念に基づいて通したんだ。
・・・普段はエラそうなこと言っといて、いざとなったらイモ引く(怖気づく)奴が多すぎやせんか。国を引っ張る政治家ってのは、いざという時にはお国のため、国民のために命を捧げる、自分の信念のためには身体も懸けるっていう、そういうドッ腹がないといかんだろ。刺されても、拳銃突きつけられても辞めないよ、と。自分の命は、自分のもんじゃなくて、国のもの、国民のもんだよ、と。それが国を動かす者の腹の括り方じゃないのか。
憚りながら 216頁

これは確かにそう思う。ちなみに私がネトウヨと言われたくないのは、いまの自民党に完全愛想を尽かしてるからなんです。特に「保守の星」とまで期待された安倍晋三のあのみっともない投げ出し方、それで政界引退するのかと思いきや、いまだに議員にしがみついてる。あれ見て自民党も完全終わったなと思いました。もっとも就任早々、池田に挨拶しにいってる時点から腰抜けだとは思っていたわけですが。その点

俺自身は民主党でもない、自民党でもない、「第三極」でもない、"本物の保守政党"が出てくるのを待ってるんだ。
憚りながら 216頁

これは完全同意です。でも今の政治家で、大臣務まる人はいないですね。選挙制度自体から根本的に改めないと、もう話にもならないと思う。


第12章では、後藤の得度に当たって天台宗の総本山が腰砕けになり、責任を全部末寺の住職に押し付けるんですが、住職が自分の立場がどうなろうとも構わないと、信念貫き通すんですよね。いまの仏教界の腐った体質や教義の善悪はともかくとして、イマドキなかなか骨のある坊さんもいるもんだなぁと関心したものです。

その他、極道の世界はもちろんのこと、政界・経済界・芸能界等の様々な人物の事件や話題が実名で次々でてきて、ことの善悪はともかく、なかなか面白い本であることは間違いありません。


しかし、著者にあえて突っ込み入れさせてもらうなら、芸能人大勢呼んで誕生日祝ってもらい悦にいるっていうのは、傍から見てて気分のいいもんじゃないですね。やっぱ所詮はヤクザというか、これも力の誇示なんだなぁと思ってしまいます。以下 youtube の関連動画です。

この動画見てるとさすがあまりの俗っぽさに興覚めするし、芸能界もやっぱ裏じゃ暴力団としっかり繋がってるんだなぁと、つくづく思ってしまいますね。


あと面白かったのがこの四冊

まずコンピュータ関係以外のお勧め本です。

金を通して世界を読む

金を通して世界を読む

投資の話ではなくタイトルどおり「金」を通して国際情勢に突っ込んだ話題を展開してます。元スイス銀行のディーラーである著者が、金というフィルターを通して世界情勢やら今後の経済情勢を深く洞察してます。


黒い手帖 創価学会「日本占領計画」の全記録

黒い手帖 創価学会「日本占領計画」の全記録

ある意味、戦後政界裏面史。小泉・安倍・福田と続く自民党末期の首相交代劇と創価学会との関係の話がたいへん面白いです。また都知事選と学会との話も興味をそそられる。また手帖強奪のやりとりが実に生々しい。関係者もそうでない人もお勧めの一書。


野村の革命

野村の革命

まぁノムさんの本は重複ネタが多いので、あれなんですが(笑) でも勝負師としての凄さを感じます。性格は好きになれませんが「考えて勝つ」という考え方は大いに参考になりますね。


なぜデザインなのか。

なぜデザインなのか。

デザインの話はそのままユーザーエクスペリエンスに通じます。知的好奇心を書き立てられる対談です。一読の価値アリ。